企業インタビュー 青木 英様

青木 英様 クオールアシスト株式会社

働き方について

在宅雇用、通勤雇用、フレックスタイムなど、どのような勤務体制を導入されていますでしょうか。
通勤を前提としない在宅雇用。1か月の勤務時間をフルフレックスで運用。生活支援や通院などの生活面を重視し、在宅社員にデメリットにならないようにするために導入。
特に重度障害者の在宅雇用を推進されている意義はどのようにお考えでしょうか。
重度障害者の雇用については、通勤困難という側面から非常に難しい状況が続いている。「働きたいのに働けない」では理不尽。通勤が難しければ在宅で働けばいいだけのこと。障害があっても能力に問題がなければ、環境整備さえすれば誰でも働け、社会参加も十分可能。重度障害者の社会参加という意味でも意義があると思う。

社員の状況把握について

障害を持つ方の病状の種類や特性、進行度合いなどは異なると思いますが、個別の身体状況や心のケアなどはどのように把握されていますでしょうか。
面接の段階から、障害の詳細・支援の状況・ご家族との関係など、深くヒアリングを実施し必要な対応を検討、働くための環境整備に役立てる。体調不良などについて、会社に申告しやすい環境を整えておく。また毎日の業務報告などにそういった内容を申し出ることも可能にしてある。会社側の方で出来るだけ疾病や症状などについて知識を高めることも重視し、早い段階で会社側の方で体調異変や必要な処置等の指示が出せるようにしている。

業務内容やマネジメントについて

社員が働き易いように業務の割り振りについて、ルール化されたものはありますでしょうか。
在宅勤務規定を作成し、在宅で働くための基本ルールを設定している。業務の割り振りや負荷については、個々の障害の特徴・特性などに配慮している。
人数が増えるにつれマネジメントの工夫が必要だったと思われますが、如何でしょうか。
マネジメントの工夫として、あまり社員の管理に拘らず、本人による自己管理と自己解決を重視している。仕事の中でもクライアントと直接やり取りするなど、通勤とあまり変わらないスタイルにすることで、間の調整を極力控えスピーディーな仕事に取り組めるようにしている。

コミュニケーションについて

業務ではコミュニケーションが大切と思いますが、具体的な活用例を教えていただけますでしょうか。
仲間意識や個々のモチベーションを上げるために工夫されていることはありますでしょうか。
Web会議システムを活用することで、在宅社員間のつながりを確保している。MTGや業務指導を行なうことも十分可能であり、現在はグループワークも頻繁に行われている。個々ですべてを完了することも大切だが、グループワークでの仕事完了の達成感は、また違うものを感じていると思う。クライアントからの評価などを伝えることで、モチベーションアップにつながってくると思う。

教育について

業務内容に合わせた個々のスキルアップや、病状の変化でスキルダウンした場合の業務提案など、情報管理やコンプライアンスとともに、社員への教育はどのようにされていますでしょうか。
社内での研修制度もあるが、基本的には自己学習を推進している。そのために必要なテキストや受講などは会社負担で対応。病状変化によるスキルダウンよりも、業務負荷のコントロールや勤務時間考慮などに工夫をしている。コンプライアンスは通勤型よりも守られていると思う。また情報管理は会社から提供する情報を最小限にすることや、情報漏洩のリスクを入社時に伝えている。情報漏洩は通勤型・在宅型を問わず、本人がどのように考えて対応するかにかかってくると思う。

評価、考課などの判断基準について

障害者にとっては結果が同じ仕事でも過程に掛かる時間やスキルが異なると思いますが、その評価はどのような方法を取られていますでしょうか。
原則として行動評価で行っており、成果評価については障害による可動域に差があるため、多少の評価はあっても重視はしていない。ただし評価制度については、今後も大きな課題の一つと考えている。

就労支援機関との関わりについて

様々な支援機関と連携をお持ちと思いますが、ご要望をお聞かせいただけますでしょうか。
在宅雇用では遠隔での雇用管理となるため、どうしても限界がある。そのため生活管理に関わる支援などには地域支援機関との関わりが欠かせない。しかし、支援先によって得意な障害分野がある…など色々な温度差があり、残念ながら在宅雇用を行ない難い地域があるのが実情。この辺の改善が進むと多くの地域で在宅雇用を行なうことが可能ではないかと思う。